企業が外国人を採用するにあたっての注意点を述べます。
外国人との雇用契約
外国人と文書で雇用契約を結ばなくてはいけないことは雇用対策法に明記されており守る義務があります。
外国人と雇用契約を結ぶにあたっては以下の5点を明示しなければなりません。
雇用契約は文書で保存する必要があります。
在留資格更新の際にはそのコピーを出入国管理庁に提出しなければなりません。
出入国管理庁は、労働基準法第15条1項および同法施行規則第5条に基づき労働者に交付される労働条件を明示する文書を求めてきます。
この契約書の記載内容に不備がある場合、労働基準法の定めに達していないと判断されると在留資格の取得は厳しくなるので注意が必要です。
とくに残業の有無については明確に記載することが重要です。
また、外国人が日本語を理解できない場合は、英文等の相手が理解できる言語で契約書を作成する必要があります(参照:厚生労働省 外国人労働者向けモデル労働条件通知書 英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語の労働条件通知書の例がpdfファイルでダウンロードできます)。
労働条件通知書で明示しなければいけない事項
- 労働契約の期間
- 就業の場所、従事すべき業務
- 始業、就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
- 賃金、賃金の計算及び支払い方法、賃金の締切日、支払いの時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項
外国人の住民登録、在留カードとマイナンバーカード
日本に90日以上在留する外国人については、基本的に在留カードが発行されます。2012年7月以降は在留カードが登場し、その管理は出入国管理庁が行っております。
2016年からはマイナンバーカードが発行されています。
日本人と異なり、外国人の場合には在留カードの期限がマイナンバーの期限と同じ日にになっています(つまり外国人が在留資格の延長を行った場合には必ずマイナンバーカードの更新も必要となります:最近この更新忘れによるトラブルが非常に多いので必ず行う必要があります)。
在留カードになっても外国人の住民登録は従来どおり、居住地の市区町村で行います。
マイナンバー制度により外国人のもマイナンバーカードが発行されます。マイナンバーのカード番号と在留カードの番号は異なるので二重の管理が必要です。
住民登録が済むと、2012年7月からは外国人にも『住民票』が発行されるようになりました。企業の担当者も記載内容の確認をしておく必要があります。『在留カード』を所有している外国人は『在留カード』を常時携帯する必要があると入国管理法に規定されています。
『在留カード』は、出入国管理庁が情報の一元管理をするので、市区町村は役割が変わります。ただし、住所変更の手続きについては、市区町村の役場経由とり、専用のオンラインで情報のやり取りが行われます。
採用の面接をするときには、この『在留カード』の実物を確認するようにしてください。また、人事担当者は『在留カード』の有効期間に注意する必要があります。
もし、在留カードの所有が確認できない場合には、企業として採用することはできません。
また、「留学生」や「家族滞在」のビザしかない外国人を正社員としてフルタイムで働かせることも禁止されています。出入国管理庁がこの事実を見つけると、その外国人のビザ更新が不許可となることがあります。
企業の実務担当者は、採用面接の際に、外国人が所有する在留カードの実物を確認する習慣をつけておいてください。不法滞在をしている外国人が、書類を偽造して就職をしようとすることも考えられるからです。
また、在留資格を持つ外国人であれば誰でも採用できると言うわけではありません。在留資格を持っていたとしても、取得している在留資格で就労できる職務内容が決められています。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持って日本に滞在している外国人の在留資格の内容に採用した会社の業務内容(職務の内容)が合致していないと判断されると、出入国管理庁から不許可通知が来て働くことができなくなります。
この場合、在留資格に該当する業務に配置変えすることで許可が取れるケースがあります。このようなケースでは新しい在留資格(在留カード)が受け取れるまでは企業側の都合による休業と判断されることとなるので、労働者に休業手当を支払う義務が発生します。
外国人の雇用に関しては、2012年7月以降は旅券または在留カードにより、『在留資格』「在留期間」『在留期限』を確認することがポイントになります。
企業がうっかり確認を怠ると、不法就労助長罪の疑いを出入国管理庁から受ける可能性もあるので、注意が必要です。
参照資料:出入国管理庁 不法就労防止にご協力ください(リーフレット) pdf
法務省 不法就労防止にご協力ください pdf